froglog

プログラミングや統計の話など

人材流動性を高めました

このエントリについて

いわゆる退職エントリです。 と言っても退職したのはおよそ1ヶ月前ですが。

退職の経緯

8月末で株式会社 ALBERT を退職しました。 2年と2ヶ月の在籍でした。

退職を決めた理由は、

  1. 新しい分野・環境に身を置きたくなったこと
  2. 上場して会社としてのステージが変わったこと

などです。*1

入社してからは主にレコメンデーションっぽいシステムの開発に携わることが多かったのですが、特に去年の秋から今年の春にかけてやっていたプロジェクトにおいてレコメンデーションまわりでやりたかったことを一通り実現できてしまいました。 推薦システムは奥深い分野であり極めたなどとはもちろん微塵も思っていませんが、そこに至って環境を変えた方が自分にとってのインプットが大きいのは間違いないだろうとの見込みがありました。 そしてちょうど2月に IPO があり、組織としてのステージも変わってきたのでいいタイミングかなと思いました。

学んだこと

いわゆるシステム開発

ALBERT 以前の仕事でも開発はしていましたが、社内向けツールであったり社外向けに作っているシステムで使うためのライブラリみたいな感じの開発が多く、いわゆる一般的なシステム開発というものを経験したことがありませんでした。 例えば web システムの全体に対してコミットできたわけではありませんが、「ネットでよく見る『システム開発』ってこんな感じか〜」というイメージを持つことができました。

新しいモノを使う

新しい開発ツールフレームワーク等をガンガン使っていくという文化があり、「VCS を普通に使えるのが自分を含めて2人しかいない」みたいな組織にいたこともある自分にとってはそれがとても新鮮でした。 実際自分がいた間だと、AWS サービス群、JetBrain 社の製品群、Ansible や Vagrant 等のプロビジョニング関係ツールApache Spark 等のフレームワーク等が導入されました。

一方で新しいものを導入するというのは組織運営の面で困難なところもあり、導入に全員がすぐ適応できるわけでもないですし、導入したものをどのように運用するかまで考える必要があります。 個人として新しいものを抵抗なく取り入れられるのは素晴らしいことですが、組織としては運用面でのバランスの問題があり、個人的な感覚としてはやや導入を急ぐ方に寄っているかなという思いがありました。 とはいえいろいろなものが使えたのでとても勉強になりました。

社外勉強会の文化

私が入社したときは社外の勉強会に参加したり発表したりしているエンジニアが結構多くいました。 中には勉強会の主催者メンバーになっている方もいらっしゃいました。 それまで身近に勉強会に参加している人がおらず、「勉強会に参加する」という考えがありませんでした。 誘われて何度か勉強会に参加してみて、また機会をいただいて自分でも発表したりして、この文化はとてもいいものだと感じました。 これについては後述します。

以上は私の在籍期間中の話であり、上述のとおり組織のステージも人も変わっているので現在の状況とは違っている可能性があることをご留意ください。

転職について

バズってから2〜3年

前回の転職ではエージェントを使い、今回の転職ではエージェントおよび知人のツテを使いました。 エージェントで面白かったのが、「ビッグデータの文脈で機械学習をやりたい」的な感じで前回の転職でも今回の転職でもエージェントには同じ希望を伝えているのですが、エージェント側の反応がまったく違っていたことです。 今回の方が断然反応が良く、次から次に案件を持ってきてくれました。

前回の転職のときがちょうど「ビッグデータ」がバズり始めたときだったんですが、転職市場的にはまだそういった人材の需要は少なかったのでしょう。 というのを考えると、何かのスキルがバズってから2〜3年して転職市場での需要が大きくなる、つまり少し先の未来で需要が増えるスキルを予想するのはそんなに難しくない、ということなのかもしれません。 知らんけど。

エンジニアにとっての「弱い紐帯

有名な話なのでご存知の方も多いと思いますが、「弱い紐帯の強み」("The strength of weak ties")という説があります。 アメリカの社会学者 Granovetter さんが提唱したもので、まあ内容についてはリンク先をご参照いただければと。 エンジニアにとっての弱い紐帯って何なのかというのを考えたときに、社外の勉強会でのつながりが正にそれにあたるのではと思い当たりました。

公開のエンジニア勉強会ではいろいろな組織から人が参加しており、当然密な人間関係ではありません。 なのでそこに集う人の情報の冗長性は低いです。 一方で、その会のテーマという共通の興味があるために近い文脈で話をすることもできますし、発表などすれば自分がどういう人間かというのをちょっぴり知ってもらうこともできます。

私は決してコミュ力が高い方ではなく、というか低いのですが、それでも勉強会に参加したり発表したりして参加者とお話させていただいたりしました。 転職活動中にはその御縁で何名かの方から会社を見に来てみないか、とお声がけいただきました。 面談だけで終わってしまったり自分の力不足だったり私の方からお断りを入れたりで多くの場合はご期待には添えませんでしたが、お声がけいただいた方々には本当に感謝しております。 本当にありがたい話です。

エンジニア勉強会のような組織を超えたゆるい興味のつながりは、私のような強いコネもない・スタープレーヤーでもない人間にとって、弱い紐帯セーフティーネットとして意味があるものだというのが今回の転職での気づきでした。 (このエントリで一番言いたかった話です)

今なにしてるか

ということで勉強会つながりでお声がけいただいた某社で9月頭から働いております。 本当にありがたい話です。

*1:もちろん他にネガティブな理由もありますが、ここではふせておきます。